幼稚園の夏祭りで、わたしは催し物のおばけ屋敷に入ることを拒んだ。わざわざ暗くて怖い場所に、どうして行かなければいけないんだろう……。
小学生になった私はそれなりに成長し、図書室にあった【ホラー映画に出てくるオバケ図鑑】的な本を友達と恐る恐る見て楽しむようになった。エクソシストやジェイソン、チャッキー、呪怨の伽椰子、リングの貞子、お岩さん……いろんなオバケが載っていた。
どうして小学校の図書室にそんなサブカル書籍が置いてあったのかはわからない。でも、恐怖より好奇心が勝った子ども時代の私はワクワクさせられたことを覚えている。
しかし、ある日のこと……。毎日図書室のサブカル書籍でおばけを見すぎたせいか、私はどぎつい夢を見た。今でも覚えている。障子に囲まれた部屋に敷かれた布団で寝ている私の上に、口裂けピエロがドーンと立ち、「血を抜き取ってやろうか〜!」と言ってきたのだ!小学生が見るような夢ではない……エグめホラーのワンシーンである。
この日から私は自分に【おばけ苦手】とキャラ付けを徹底し、一切見なくなったのだ。
友達がほん怖で盛り上がろうとも、お祭りや遊園地のおばけ屋敷に誘われようとも、私は断固として拒み続けてきた。
徹底しておばけと隔離された世界で生き続け、大人になった今…
西畑大吾、ホラー映画初主演
とおめでたいニュースが飛び込んできた。
『忌怪島』、赤い女の怨念、VR、仮想空間、不審死………
薄暗く不気味な世界観の中に、白と黒のコントラストが美しい、儚さと凛々しさを同居させた西畑大吾くんが立っている。その光景は必然と言わんばかりに、彼の不思議な魅力をそのままの鮮度で活かしていた。
ギャッ……ホラー映画……!ヤダヤダ!と泣き喚いて逃げるか?どうなんだ?と自分を冷静に見つめてみると、意外や意外。私は西畑大吾くんの妖しげで寂しげな側面が魅力として活かされているその姿にすっかり魅せられ、完全に前のめり!拒絶どころか、食わず嫌いを克服できるチャンスを得て胸が高鳴っていた。まったく……、私はどんな感情よりも好奇心が勝ってしまう。子どもの頃から何も変わっていないらしい。
子ども時代に自分で課した【おばけ苦手キャラ】によって、長い間おばけと隔離された世界で生き続けてきた私に、とうとうこの手で鎖国を終わらせる日が訪れたのだ!
まず初めに、清水崇監督の作品の履修から始めた。お友達と電波で繋がり、一緒に悲鳴を共有しながら『樹海村』『牛首村』を鑑賞。
怖かった、とても怖かったけど、楽しくもあった。
(お…………?案外わたし、いけちゃうのでは?)
実のところ、私は今までおばけとの関わりを絶ちすぎていたが故、自分はおばけが本当に無理な体質なのかどうなのかということすら、明確ではなかったのだ……。
しかし調子に乗っている私にはまだ、清水崇監督作品の中で最も怖いと言われている『呪怨』が残っていた…。
トラウマになった人が続出と話題の、風呂にも布団にも逃げ場がないと噂の、あの、呪怨が……。
私は意を決して、またお友達と一緒に悲鳴を共有しながら呪怨を鑑賞。
怖い怖い怖い!怖かった!でも楽しかった……
その夜、私は普段と変わりなく風呂に入り、トイレに行き、すやすやと眠り、普通の夢を見た。
良いのか悪いのか、多感な子ども時代のように恐怖が日常生活まで及ばない。
私は無事、おばけとの鎖国を終了することができたのだ!
そこで私の元に、大本命『忌怪島』の小説版が届く。映画を観るまで中身を知らずに寝かせておくか…?とも考えたが、私は西畑大吾くんの魅力的な演技が見られる絶好の場で、見知らぬ恐怖に怯えながら目を細めたくなかった。眼球を開いて享受したくなった……。
鎖国をやめたものの、おばけとは久しぶりの仲。準備はきちんとするべきだと、私は小説版を一気に読み切った。
まぁ正直、ただただ西畑大吾くん演じる"片岡友彦くん"のことが気になって気になって、待ちきれなかっただけなのだけれど………(笑)
忌怪島を読み切り、他にも清水崇監督作品をいくつか鑑賞した結果わかったことがある。
私は、諸悪の根源が1番怖い体質だと。
怨霊たちは被害者で、怨霊が怨霊となったのには原因がある。生きている間、心の醜い恐ろしい人間に虐げられてきた結果怨霊になっている。
その背景を知ると、なんだかおばけに対する怖さというもの以前よりも少し減り、逆に人間に対する怖さに震え始めた……。
今まで私は「人間の怖さはいけるけど、オバケは無理だと思う〜…」という根拠のないキャラ付け発言を繰り返していたのだが、実際は逆のタイプだったことを忌怪島がきっかけとなり思い知らされ、新しい自分との出会いにワクワクしたりした。
いやいやそれでも正直おばけは怖い、全然怖い、超怖い……。
でも、食わず嫌いせずJホラーに触れてみると、様々な発見と新たな自分との出会いが待っていて超〜〜楽しかったし嬉しかったなぁ…というお話しでした!
忌怪島はホラー要素だけではなく、主人公の人間的成長も描かれたとても厚みのある物語なので、ホラーを食わず嫌いしている方が思い切って全身で浴びてみるのも良いのでは?という作品。責任は取れないけどね……!
この作品の主演に選ばれた西畑大吾くんって………と、鑑賞後に震え上がること間違いなしの熱くて冷たい初夏に乾杯!
大吾くん、改めて主演おめでとう!
ついに来週公開!
忌怪島が大ヒットしますように!
幼い頃の私へ
怖い夢を見て大変だったね。お疲れ様でした。
大人になったあなたは、大きなスクリーンでホラー映画を観に行くまでに成長しています。
おばけを克服するきっかけとなる大好きな人に出会っているので楽しみにしていてください。
大人の私より
待ってろ!